背景
前の記事で作った「めぐる」は、動き出した時点では空欄と見積だらけだった。「車検の満了月がわからない」といった警告が6件。金額も、記憶を頼りに入れた見積が多かった。
でも答えの多くは、会計ソフトの中にすでにある。うちはマネーフォワード クラウド会計を使っていて、日々の入出金や仕訳が実績として積んである。これをめぐるへ写す作業を手でやるのはつらい。
公式のMCPサーバーがあった
調べると、マネーフォワードが2026年3月から公式のMCPサーバーを、全プラン・追加料金なしで提供していた。MCPは、AIが外部のサービスへ直接データを読みに行けるようにする接続の仕組み。つまり「AIが自分で会計ソフトを開いて調べてくれる」ようになる。
手段は他にもあった。CSVを書き出して読ませる、開発者登録してAPIを叩く。ただMCPなら接続先をひとつ登録するだけで済む。今回は読み取りだけを使い、仕訳を書き込む機能には触れないことにした。AIの学習にデータが使われない設定で使う、という注意点も公式の案内にある。
AIが仕訳をたどって埋めていく
つないでからは、「この空欄、会計データから埋まらない?」とAIに聞いていくだけだった。AIは残高試算表や仕訳をたどって、根拠つきで答えてくる。
決め手になったのは仕訳の摘要欄だ。たとえば賃貸の契約更新。いつ更新したのか自分は覚えていなかったが、摘要に「(2年間)更新料」と書いてあり、支払日から次の更新月まで一気に確定した。2年ごとイベントの基準日がこれで決まった。
見積で入れた額が実績の倍近かった項目もあれば、めぐるに登録していなかった毎月の売上や保険料が明細から見つかって、テンプレートが5件増えたりもした。警告6件は3件まで減った。残り3件は会計データに手掛かりのない家計まわりで、こればかりは通帳と記憶をあたるしかない。
埋める以上のことが起きた
数字を写す作業のつもりが、AIから「これはおかしくないですか」という指摘が返ってきた。会社の健康保険に入っているのに、家計側に国民健康保険の支払いが登録されたままになっている。確認したら個人事業時代の名残で、いまはもう払っていないものだった。止めたら、年間ではかなりの額の過大計上が消えた。
設立1期目なので今期は発生しない税金や、免税でそもそも対象外の税金、といった判定もAIが仕訳の状況から出してくれて、本人確認のうえで反映した。空欄埋めのつもりが、ちょっとした棚卸しになった。
運用の注意
めぐるには金額を隠すマスク機能があるが、突合の作業そのものは金額を見ながらやるしかない。なのでこの作業は、手元のローカルセッションに閉じて行う。対象になるのは法人と個人事業の会計までで、家計簿アプリのほうには公式MCPがない。家計分は手入力のままだ。
次の構想は、毎月の明細とめぐるの予定を突き合わせて「これは支払い済みでは」と提案してくるところまでの半自動化。誤マッチで実績を汚したくないので、自動では確定させず、最後の確認は人がやる形にするつもりだ。