本番で見えてきたこと
うたかたを持って人前で弾くうちに、デジタル譜面の課題がはっきりしてきた。現地で通信をつなぐのに時間がかかる。スクロール型のコード譜サイトは、1コーラスだけで終わらせるとか、アウトロに飛ぶといったその場の構成変更がやりづらく、流れを寸断する。昼の屋外では、そもそも直射日光で画面が見えない。
だから本番は紙。そして紙なら、せいぜい2枚まで。演奏の途中にページをめくるという動作を入れたくないからだ。うたかたは「ページをめくらない楽譜を印刷するためのアプリ」なのだと、使いながら輪郭が定まってきた。
この方針は細かい判断にも効いてくる。2段組は文字を80%まで縮めてでも1枚を狙うが、1段組は100%を切ってまで1枚にせず、気軽に2枚にする。共演者の視力に合わせて段組を切り替える機能も、ここから生まれた。
小節線は、コードの行に
コード譜は歌詞とコードだけで、リズムの情報が薄い。そこで小節線を入れられるようにした。置き場所は歌詞の行ではなくコードの行。小節線もコードも同じリズムの情報だし、歌詞の行を汚さずに済む。
1小節に2つのコードが入るときの拍の配分は、「D -- G -」のようにダッシュで書く。線1本が1拍。手書きの譜面でよく見る書き方と同じ読み方になる。書いた小節にだけ表示されるので、全曲に付けて回る必要はない。

いまのうたかたはこんな姿だ。載せたのは著作権の切れた唱歌「ふるさと」。行末に何度か出てくる「D -- G -」が拍のダッシュで、コードが2つ入る小節にだけこう書いてある。
取り込みは画素解析で
手持ちの譜面の取り込みは前の記事の続きだ。どこまでが自分用の複製として許されるか、という権利の線引きもそちらに書いた。今回は方式がひとつ進化して、譜面を画像のまま解析するようになった。コードは黒い文字、歌詞は赤い文字と色が分かれている譜面なら、ピクセルの色と座標から「どのコードが歌詞のどの文字の上に乗っているか」を機械的に判定できる。
きっかけは、目視で転記した曲で、出だしからコードの位置がずれていたこと。以後は目視やテキストのメモを経由せず、画素解析で取り直す方式に統一した。精度は目に見えて安定した。
押さえ方を曲ごとに選べる
同じコードでも押さえ方は複数ある。コードの図に◀▶を付けて、その場で別の形に切り替えて試せるようにした。しっくりきたら保存ボタンで、その曲のデフォルトになる。
自動保存も考えたが、やめた。いつ保存されたのかが見えない仕組みは、挙動が想像しづらい。試し弾きは◀▶、決めたら保存、の2段階だけにした。
レパートリー帳らしくなってきた
取り込みが安定したところで、弾きたい曲を少しずつ増やしていった。曲にはジャンルと年代のタグを付けてあり、一覧で「童謡・唱歌だけ」「アニソンだけ」のような絞り込みができる。
曲が増えたら、今度は操作ボタンの渋滞が気になってきた。その仕切り直しは別の記事に書いた。
感想
曲のインポートはかなり安定して、精度が高くなってきた気がする。まだ弾いて確かめていない曲が多いので、弾いたら問題に気づくかもしれない。押さえ方を複数から選べるようにできたのも今回よかったところで、やりたかったことがひとつひとつ形になって積み重なっていっている。